2009年1月26日月曜日

平成20年度【問 1】

【問1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。

2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。

3 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、四親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。

4 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。

キーワード整理

成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。

正しい。成年被後見人の行為は取り消すことができる。しかし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については取り消せない。

未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。

誤り。未成年者が婚姻をした場合は成年者とみなされる。

3 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、四親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。

誤り。本人以外が、補助開始の審判の請求をする場合は、本人の同意が必要。浪費者等については法定後見制度に限界があると言われている。

4 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。

誤り。行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときは取り消せない。

解答1


項目整理

未成年  

単独行為(同意なし、損する)・・・・・・取消せる。
(同意なし、得する、義務免除、営業範囲、こずかい)・・・取消せない。
遺言は15才から  

成年被後見人
  
日用品、日常生活以外・・・・取消せる。


被保佐人  

単独行為(同意なし、大損する)・・・・取消せる。(日用品はダメ!)
               
<被保佐人の同意必要な行為>
① 建物3年超の賃貸借契約
② 土地5年超の賃貸借契約
③ 土地の売買・抵当権設定
④ 新築・増築・大改修(請負契約)
⑤ 遺産分割協議、相続承認・放棄

◎うそつきは保護されない
◎能力者になって5年間は取消せる