2007年9月30日日曜日

宅建本試験解方(代理)

平成18年本試験問題
【問 2】AはBの代理人として、B所有の甲土地をCに売り渡す売買契約をCと締結した。しかし、Aは甲土地を売り渡す代理権は有していなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 BがCに対し、Aは甲土地の売却に関する代理人であると表示していた場合、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことをCが過失により知らなかったときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

2 BがAに対し、甲土地に抵当権を設定する代理権を与えているが、Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる場合、甲土地を売り渡す具体的な代理権がAにあるとCが信ずべき正当な理由があるときは、BC間の本件売買契約は有効となる。

3 Bが本件売買契約を追認しない間は、Cはこの契約を取り消すことができる。ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権がないことを知っていた場合は取り消せない。

3 Bが本件売買契約を追認しない場合、Aは、Cの選択に従い、Cに対して契約履行又は損害賠償の責任を負う。ただし、Cが契約の時において、Aに甲土地を売り渡す具体的な代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。

問題のキーワードを整理・分析、パターン化、図式化、記憶法

【問 2】代理人A本人Bの代理人として、売買契約を相手方Cと締結。代理人A代理権有していなかった。民法の規定及び判例によれば、誤っているもの。

 問題の前提の分析、パターン化(無権代理前提、表見代理成立の問題)

1 本人Bが相手方Cに代理人と表示、代理人Aに代理権はないことを相手方Cが過失により知らなかった、本人B・相手方C間の本件売買契約は有効となる。

B本人A代理人と表示 (表見代理の成立)  
A売買契約C代理権の存在について過失  
 
あてはめ法
【表見代理】
☆Aが代理人のように見えるのはBにも責任があるからCがかわいそう、しかし、善意無過失必要。 

表見代理が成立するが、相手方Cが善意無過失で無いため、契約は無効となる。設問は誤り。

記憶法
☆本人Bが相手方Cに代理人と表示した場合表見代理が成立し、代理人Aに代理権はないことを相手方Cが善意無過失により知らなかった場合に、本人B・相手方C間の本件売買契約は有効となる。


2 本人Bが代理人Aに抵当権設定代理権を与え、代理人Aの売買契約締結行為は権限外の行為となる、代理権が代理人Aにあると相手方Cが信ずべき正当な理由がある、本人B・相手方C間の本件売買契約は有効。

B本人A代理人に抵当権設定の代理権(表見代理の成立)
A売買契約C代理権の存在について正当事由 (表見代理の成立主張)
 
 
あてはめ法
【表見代理】
☆ Aが代理人のように見えるのはBにも責任があるからCがかわいそう、信ずべき正当な理由がある(善意無過失) 

表見代理が成立し、相手方Cが代理権の存在について正当事由を有するため、契約は有効となる。設問は正しい。

記憶法
☆本人Bが相手方Cに代理人と表示した場合、代理人Aの代理権の存在について相手方Cが正当な理由がある場合に表見代理が成立し、本人B・相手方C間の本件売買契約は有効となる。


3 本人Bが追認しない間、相手方Cは契約を取り消すことができる。相手方Cが契約時に代理人Aに代理権がないことを知っていた場合は取り消せない。

B本人追認していない間    
A売買契約C無権代理無権代理知っていた (悪意の成立)

あてはめ法
【無権代理】
無権代理の場合、本人が追認するまでの間は、相手方Cが代理権の存在について、善意、善意有過失の場合に契約を取り消すことができる。悪意の場合は取り消せない。設問は正しい。

記憶法
☆無権代理の場合、本人Bが追認しない間、相手方Cは善意無過失、善意過失の場合、契約を取り消すことができる。
☆無権代理の場合、本人Bが追認しない間、相手方Cは悪意、善意無過失、善意過失でも、追認の催告ができる。本人Bの確答が無ければ追認拒絶となる。


4 本人Bが追認しない場合、代理人Aは、相手方Cの選択に従い、相手方Cに契約履行又は損害賠償の責任を負う。相手方Cが契約時に、代理人Aに代理権はないことを知っていた場合は責任を負わない。

B本人追認しない場合
A売買契約C無権代理知っていた (悪意、過失の成立) 


あてはめ法
【無権代理】
                
B追認で有効⇒遡及効有。    
●善悪・過失関係なし勧告(追認するか?)拒絶・・・・・・・・確答なければ

A契約有効
CはBの追認までは●善意(取消せる)
            ○善意無過失(契約履行・損害賠償)Aに対し無権代理人は当事者本人となる
             代理人は「Bの代理人だ」とCに言わないと本人になる(顕名主義)

無権代理の場合、本人が追認しない場合、相手方Cは代理権の存在について、善意無過失の場合、代理人Bに対して契約の履行、損害賠償をその選択により請求することができる。悪意、有過失の場合は請求できない。設問は正しい。

記憶法
☆無権代理の場合で本人Bが追認しない場合、代理人Aは、相手方Cが善意無過失の場合に相手方Cの選択に従い、相手方Cに契約履行又は損害賠償の責任を負う。